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計測 ノウハウ

どれが最適?変位計測器の選定ポイント!

2020.04.14


対象の移動量を測る変位計測。その手法には、変位計や加速度計、歪ゲージ、モーションキャプチャを使用したもの等が挙げられます。ここでは目的や課題に合わせて、効率的な変位計測の手法をご紹介。それぞれの特徴から、最適な変位計測の手法を選びましょう。


1軸の移動量を計測する「変位計(変位センサ)」

変位計とは、XYZ軸のうち、特定の1軸方向に対して、物体がどれくらい移動したかその量を計測する際に適したものです。
変位計には非接触式と接触式があり、レーザ・棒状・ワイヤと様々な種類があります。例えばレーザ変位計であれば、レーザを照射し、その距離を計測。移動前後の距離の差で物体の移動量がわかり、シンプルかつ高精度に計測が可能です。
一方で、次の3つの場面では、それぞれに課題があります。


複数の箇所を同時に計測する場合

3次元的に移動する場合

回転運動する場合


1.複数の箇所を同時に計測する場合
センサの設置方向が軸方向を定義するため、複数の箇所を同時に計測する場合は、すべてのセンサを同じ向きに設置する必要があります。そのため、各センサで変位方向を変えてしまうと、正しい移動量の算出ができなくなるというデメリットがあります。


2.3次元的に移動する場合
計測対象が1軸方向だけに移動する場合は変位計で高精度に計測することが可能です。しかし、変位計で計測しようとする軸上以外の動きを対象がする場合、計測対象点が動きと共に変わり、正しい値が取得できなくなってしまいます。例えば、レーザ変位計の場合、反射点が移動してしまい、別の計測点を取得してしまうことが起こります。


3.回転運動する場合
計測対象が回転運動する場合、変位計で回転量を算出することはできません。例えばロボットのように対象自体が大きく変位すると同時に回転運動するようなものは、計測するのが難しくなります。


物体の加速度を計測する「加速度計(加速度センサ)」

加速度計を使う目的は、運動の変化を表す加速度の値の算出です。手軽に高精度な加速度の算出が可能な一方で、次の3つの場面では、それぞれに課題があります。加速度計の座標系以外での値を算出する場合複数の加速度計で同時に計測する場合センサの重量によって運動が変わってしまう対象の場合


1.加速度計の座標系以外での値を算出する場合
加速度計は、それ自体に座標系があり、その座標系で値を算出します。そのため、加速度計の持つ座標系ではないCAD座標系やワールド座標系で加速度を算出したい場合は、軸合わせをする必要があり、手法として非常に困難です。


2.複数の加速度計で同時に計測する場合
複数の加速度計を使用する場合、多くの工数が掛かるという課題があります。それぞれのセンサから算出される値を比較するために、センサの軸をすべて合わせる必要があるからです。また、円筒上の対象等、加速度計を同じ方向に設置することが不可能な対象は、軸合わせ自体が困難になります。


3.センサの重量によって運動が変わってしまう対象の場合
加速度計自体に重量があるため、計測対象によってはその運動に影響を与えてしまいます。加速度計の小型化・軽量化は進んでいますが、精度等とのトレードオフになり、複数種類から選択する必要があります。


物体のひずみを計測する「歪ゲージ(ひずみゲージ)」

歪ゲージとは、非常に微細なひずみを高精度に取得するものです。金属(抵抗体)の伸縮による抵抗値の変化量を計算して変形(ひずみ)を算出します。しかし、歪ゲージはレーザ変位計と同じく、計測できるのは基本1軸です。さらに計測する際は1箇所の計測につき2つのセンサを貼付する必要があります。
そのため、歪ゲージには次のような課題があります。軸方向に合わせて2つのセンサを貼付する必要がある片方のセンサが外れると計測することができなくなるせん断歪み等に変化する際には、複数のゲージから計算する後処理が必要


「モーションキャプチャ」で3次元的な動きを多点同時に計測する方法


モーションキャプチャを使った変位計測システムは、レーザ変位計や加速度計、歪ゲージでは課題がある対象の計測に適しています。例えば多点同時に計測したい場合、3次元的な動きを計測したい場合、センサの重量で対象の運動に影響を与えたくない場合に用いられる手法です。
主に次の3つのメリットがあります。複数点の計測準備が容易3次元空間上での計測が可能軽量なセンサを非接触で計測


1.複数点の計測準備が容易
モーションキャプチャを使った変位計測は、変位計や歪ゲージのように軸方向を意識する必要はありません。3次元空間を定義して、その空間上で移動する移動量を計測するため、センサの貼付において軸を意識せずに計測することが可能。複数箇所の同時計測を行う場合も、変位計、加速度計、歪ゲージでは非常に工数が掛かってしまうところ、モーションキャプチャを使った変位計測では、計測したい箇所にセンサを貼付するだけと非常に簡単です。数百点の計測実績がありますが、その準備時間は、他の手法と比べると圧倒的に短く、容易です。多点の計測でこれまで半日かかった準備時間が30分に短縮された実績もあります。


2.3次元空間上での計測が可能
3次元計測が可能ということは、対象の運動が1軸方向に限定されず、回転する場合であっても安心して計測することができます。また、3次元的な移動を平面に投影し、1軸方向の変位を算出することも可能です。さらに、座標系はCAD座標系や各対象のローカル座標系への変換が可能で、変換後の座標系での変位や加速度の算出も可能です。従来の加速度計よりも優れた性能であるといえます。


3.軽量なセンサを非接触で計測
モーションキャプチャを使った変位計測で用いるセンサは、マーカーと呼ばれる反射体で、重量は1g以下です。ケーブル等の配線はなく、計測時に接触する必要がないため、対象の運動を阻害しません。例えば、ワイパーのビビリのような微細な変位も、センサの重量や配線の影響を受けず、本来の挙動を非接触で計測できた実績があります。


Acuityでは、モーションキャプチャ「OptiTrack」を使った変位計測を「非接触3次元動的挙動計測システム」として提供しています。
OptiTrackを変位計測器として安心してご使用いただくため、計測精度の検証(参考:OptiTrackの品質)や加速度計算の精度向上(参考:OptiTrackと加速度計算)に取り組んでいます。さらに、本システムは変位を計測するだけでなく、後処理や解析の手間を解消する専用ソフトウェア「SKYCOM」と組み合わせたものです。



本システムが多くの企業で導入される理由は次の3つです。


1.リアルタイム演算・表示
変位・加速度・ひずみだけでなく、角度や速度等のあらゆる物理量の演算がリアルタイムで行えます。演算結果はグラフや数字だけでなく、3次元ビューやコンターで結果を視覚的に確認できます。


2.自動処理
複数のデータに対して、フィルタ処理や補間等の解析の前処理を行う「バッチ処理」や演算や処理を登録して自動実行する「マクロ処理」が搭載されています。実験処理の工数を低減します。


3.便利な解析機能
相対変位・FFT・座標変換・正規化等、複雑な演算機能を備えています。さらにレポートや動画の出力機能もあり、解析結果の共有が簡単に行えます。


「非接触3次元動的挙動計測システム」は、変位計測の工数を大幅に短縮。誰でも高精度な計測を可能とし、脱属人化と作業効率化を実現します。



製品構成や活用例など 非接触3次元動的挙動計測システムの詳細を見る


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