導入事例Introduction Example
大型振動実験で5階建て建物の変位を30m先から計測
2022.02.2530m先にある大型構造物の振動台実験で変位を計測。モーションキャプチャ「OptiTrack」カメラを使用し、ソフトウェア「SKYCOM」にて加振時の変位量を多点同時に計測。解析結果は計測点ごとにグラフや数値等、様々な方法で可視化されます。
受託計測前の課題・要望
ビル・橋梁など建築業界で構造物の振動実験を行う場合、変位計やレーザートラッカーを活用した計測方法があります。
しかし準備に日数を要することや、計測後の後処理に手間取ること。また、解析データをリアルタイムにその場で確認するには適していないことなど、多くの課題が挙げられます。
そのため、構造物全体の振動実験の受託計測では、
・手間なく最短工数で、3次元計測を可能にすること
・30m離れての計測にも対応していること
・その結果、変位量や速度、加速度等のデータがその場で提供できること
が期待されました。
解決方法
世界最大の震動破壊実験施設「E-ディフェンス」にて、鉄筋コンクリート造実大架構試験体を加振し、多点同時に変位量を計測・解析するため、変位計測システムを活用しました。
本計測では、モーションキャプチャシステム「OptiTrack」と解析ソフトウェア「SKYCOM」を使用しました。カメラは離れた場所に設置でき、30m離れての計測にも対応しています。計測箇所には反射マーカーを貼るだけで、そのマーカーの3次元位置座標を精度よく多点同時に計測することができ、振動に合わせ、リアルタイムにセンサーの位置情報を取得することができます。
計測したデータは解析ソフトウェア「SKYCOM」を使い、変位量をグラフだけでなく、数値と合わせて動画・3Dで動きを確認することができ、それらの解析データは無償のフリービュアーで確認ができるため、単純な数字の羅列データだけでなく、変位量や速度、加速度に連動して3Dが動く様子も一緒にご提供することができます。
受託計測の効果
モーションキャプチャシステム「OptiTrack」を使用した3次元計測で、どれくらいの工数が低減されるのか。
変位計やレーザートラッカーを活用した計測方法では、準備段階から大幅な工数がかかるものでも、「OptiTrack」ならという効果が出ています。
本受託計測では、
・1ヵ月かかる準備が3日に、実験工数が10分の1に大幅低減
・リアルタイムで多点同時に計測
を行っています。
受託計測の効果①1ヵ月かかる準備が3日に、実験工数が10分の1に大幅低減
変位計測システムは、カメラを設置し、計測対象物にマーカーを貼付し、試験を開始・計測します。従来と大きく異なるのはワイヤレスかつマーカーが非常に軽量で取り付け安い点。計測機材の配線などはなく、本当に張り付けるだけで計測が可能です。
もちろん、対象物が小型であればカメラの設置や計測対象物にマーカーを貼付するといった準備にかかる時間は少なく済み、今回のような大型な対象物であれば、工数短縮の効果は大きくなります。また準備時間だけでなく、計測・解析についても直感的に簡単な操作で行えるため、見たい箇所を思った通りに様々な角度から解析・評価できるのも大きなメリットです。
実際、作業者3名でレーザ変位計を使用した振動試験と、モーションキャプチャを用いた変位計測システムを使用した振動試験を実施したところ、準備にかかる時間は1ヵ月から3日に削減され、実験工数も10分の1に低減されました。
受託計測の効果②リアルタイムで多点同時に計測
構造物の振動試験において、変位計測システムを活用するメリットとして、複数の計測点を同時に計測できることも上げられます。
本試験では5階建ての構造物の柱ごとに合計50点以上もの反射マーカーを貼付しており、そのすべての位置座標を同時に計測し、リアルタイムに変位量を解析しています。
モーションキャプチャシステム「OptiTrack」では、マーカーを貼付するだけで3次元計測ができ、軸方向の定義はキャリブレーション後に治具を置くだけの簡単作業で終わります。従来のレーザ変位計のように、対象に直接設置し、レーザの軸方向を一つ一つ定義する手間がありません。過去には100点以上の同時計測の実績もあり、1度の試験で構造物の全体の動きから、各箇所の相対的な変位も一元的に確認することができます。
マーカー自体も種類は豊富で、対象に合わせて真球タイプ・シートタイプ・シールタイプとお選びいただけます。
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