AIを使った外観検査システムの導入で、不良品の検出を成功させるためには、なにが必要なのか。このノウハウ記事は、製造業における外観検査を目視で行っている方やAIシステムの導入を検討している方、そもそもAIと目視検査の差を知りたい方に向けたものとなっています。
外観検査のミスを低減し、省人化を目指すため、AIを使った外観検査とはどういうものなのかをご紹介します。
AIとは人工知能のことです。作業員が製品の外観を見て、知的に「これは不良品だ」と気づくとき、AIもまた製品の外観を見て「これは不良品だ」と気づくことができます。AIとは、ひとの持つ知的な能力(判断能力)を人工的に構築したコンピュータのことを指しています。
作業員が「これは不良品だ」と気づくためには、作業に取り掛かるよりも前に、どれが良品でどれが不良品なのかを学習します。ミスなく完璧に不良品を仕分けるには、それだけ経験値を積む必要があります。このとき、役立っているのは「視覚」と「学習」です。
では、AIの場合はどうして「これは不良品だ」とわかるのでしょう。私たちでいうところの視覚は、AIにとってはカメラ映像になります。学習とは、不良品の画像をAIに学ばせることです。AIは、不良品の画像データを読み込み、なにが不良品なのかを学び、実際にカメラ映像を通して、不良品かどうかの判別をします。ミスなく完璧に不良品を仕分けるには、それだけ多くの不良品画像が必要になります。
■製品
学習用データを撮影するため、不良品が必要です。当然、実際のAIを使った外観検査においても製品は必要になります。
■カメラ
学習用データの撮影、および、実際の外観検査の際に必要です。
■照明
学習用データの撮影、および、実際の外観検査の際に必要です。
■環境
学習用データの撮影には、実際の外観検査を行う現場と同一の環境が必要です。
■学習用データ
不良箇所がよくわかるように撮影した不良品画像データが必要です。
AIを使った外観検査を成功させるためには、準備するものごとに、成功ルールがあります。
AIによる外観検査では製品のどこに注意すべきか。カメラや照明へのこだわりや、作業現場の環境のこと、学習用データは何枚以上用意する必要があるのか等、成功するためのルールをご紹介します。
■製品
たとえばTシャツには、無地のものや柄入りのもの、ポリエステル、ウール、ニット素材等、デザインや素材が豊富にあります。それらすべての不良品データを混在してAIに学習をかけると、AIはどれが不良品なのか混乱してしまい、検出精度が悪くなってしまいます。
対象の素材等で事前分類を行い、AIに学習をかける必要があるわけです。
■カメラ
学習用データの撮影のため、不良品を撮影するカメラと実際の外観検査で使用するカメラは統一する必要があります。しかし、一言でカメラと言っても、スマートフォンのカメラ機能やトイカメラ、インスタントカメラ、一眼レフ、産業用カメラ等、その種類は様々。中でもスマートフォンやトイカメラは、画像補正が自動でかかる等の仕様があり、不良品の検出には不向きといわれています。
AIによる外観検査で不良品の検出精度を上げるためには、カメラの種類に注意する必要があります。
■照明
照明の種類はAIの外観検査において、非常に重要なところとなります。また、照明の設置位置や製品への当て方も、AI外観検査を成功させるために重要なポイントです。
製品自体に照明を真上から直接当てたために不良箇所が光で飛んでしまったり、斜めから当てたことで不良箇所の上に影ができてしまう等、AIによる不良品検出を阻害することが往々にして起こり得ます。これでは不良品の検出精度は落ちる一方。良品・不良品の判別が正しくできるよう、照明の種類・色・設置位置にはこだわる必要があります。
■環境
AIによる外観検査で検出精度が下がる要因のひとつに、学習用データの撮影背景と実際の作業現場の背景が異なるという事例があります。コンベアの色が検査ラインごとに異なる場合や、背景も製品も同系色で境目が曖昧な場合は、AIでの外観検査の導入が困難です。
不良箇所を正しく判別するためには、AIに学習をかけるためのデータの撮影環境とすべての作業環境を統一する必要があります。
■学習用データ
AIを使った外観検査で、不良品の検出精度を高くするために必要な学習用データの画像枚数は、一般的に1,000枚以上といわれています。
そうなると、今度は別の問題が発生します。「不良品のデータなんて1,000枚も用意できない!」という問題です。その場合、学習用のために不良品をあえて生成するか、または別の方法でデータを用意する等、学習用データを揃えるための工夫が必要です。
AI外観検査システムを自社で開発しているAcuityでは、AIを使った外観検査を成功させるためのカメラ選び~最適な照明の選定ノウハウがあります。また、揃えられた学習用データを使用し、AIへ学習をかける作業も行っているほか、自社の開発チームがご要望にあわせて、見やすく、かつ操作のしやすいUI/UXのソフトウェア開発も実施。
学習用データが1,000枚以上ご用意することが困難な場合は、そのためのノウハウを有しており、実際に少量多品種な外観検査や、コスト面やスケジュールの面から、不良品のデータが必要枚数、用意できない製品の外観検査で、AIへの学習に成功しています。
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